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Architecture

MUSEUM 2_東西交感 Leeum

MUSEUM 2_東西交感

MUSEUM 2

最先端技術と現代芸術が織りなす感覚的イメージ

最先端テクノロジーとして具現化される技術美学と現代芸術が交差する接点において建築デザインに取り組んできたジャン・ヌーヴェルは、建築を"空間を構成する技術であるとともにイメージを生産する作業"と述べています。サムスン美術館、リウムのミュージアム2はそのようなジャン・ヌーヴェルのデザイン・プロセスが最も具現化された作品です。

ぽこんとくぼんだ大地の中にそびえる重厚なジャン・ヌーヴェルのミュージアム2は、大地の上で育った木々とともにその形自体が絶えず生成されている現代美術を象徴するようです。地上部分の上層部はガラス製の外壁と様々な大きさの直方体「展示ボックス(cube)」を主な要素にしています。自由におかれているこの展示ボックスは、建物の内部で観覧客に新しい展示空間を体験させると同時に、建物の外部の形を躍動的に演出しています。ミュージアム2は、サムスン美術館、リウムの韓国の近・現代の美術家だけでなく、ドナルド・ジャッド(Donald Judd)、ダミアン・ハースト(Damien Hirst)など、世界トップレベルの現代美術家を網羅している常設展示空間として使われています。観覧客はロビーを通って入場する造りになっています。

展示ボックスの材料には世界で初めて腐食したステンレススチールを用いています。錆がつかないように処理したステンレススチールに錆をつけるという、この逆説的発想を実現するため、多くの見本の検討やテストをしました。物事を逆説的に眺めることで、新しい意味を生み出す現代美術のようにミュージアム2は、従来の発想を超越した材料と空間を通して建物それ自体を都市にそびえ建つ一つの巨大な美術品として高めています。

建築家 - ジャン・ヌーヴェル
敷地面積 - 1,787㎡
延べ面積 - 5,167㎡
規模 - 地上2階, 地下3階

建築物ツアー

建築の材質

腐食したステンレス鉄板と透明なガラスの劇的な対比

ミュージアム2は極限の透明度を追求した低鉄分ガラス(extra White glass)と腐食したステンレス鉄板(rusted stainless-steel Panel)を主材料に用いました。
ガラス面から突き出し、自由に配置されている展示ボックス(exhibition box)は、腐食したステンレス鉄板によって鈍重でありながらも鋭い印象を与えます。
リウムプロジェクトの建築設計士はステンレス鉄板がさびることができるかどうかを明らかにするため、アメリカの腐食専門家マーク・キンラン(Mark Quinlan)と一緒に実験を度重ね、遂に世界初「黒化皮膜を持つステンレススチール」別名、「ブラックパテーナ(black patina)」を開発しました。
このブラックパテーナで塗布された展示ボックスは、内側では不規則な幾何学的ラインを形成すると同時に作品の展示空間を確保し、外側では金属固有の重たい質量感によって建物が大地に沈み込み、再びそびえ立つような印象をより強めています。

ゲビオン・ウォールとサンクガーデン

建築の大地から出た材料で自然の痕跡を織り込む

ミュージアム2のデザインの特徴は、建物を建てるために地面を掘削した際に生じた地下壁面をそのままいかして形象化した点です。
すなわち、地面を掘削する際に生じた土壌の輪郭から建物を少し離して建てることで、建物が土と向かい合う形で立つようにしたのです。
地下の壁面と建物と間の空間は庭園[サンクンガーデン(sunken garden) : 上部の方に吹き抜けになって地上と同じく光が入ってくる、地面より低い庭園]に活用したし、地下壁面の外装は基礎工事をしながら出た岩石盤を細く砕いて鉄製フレームに入れた「ゲビオン(gabion)」を積んで作りました。
この鉄製フレームと小石はサンクンガーデンから立ち並ぶ木々と調和してミニマルした印象を与えます。
観覧客は自然に建物の内外でこの建物が周りに残してある痕跡を見ることができます。
ジャン・ヌーヴェルは、人々がその痕跡を見ながら地形を認識し、時間の流れを感じるよう、大地と建築物との関係を設定したのです。

展示空間

現代美術の特徴をいかした「自由に流動する空間」

主展示ホールはポストテンション(post-tension)構造工法を用い、展示場に柱を使わない、開かれた空間を具現しました。
現代美術の特徴をいかした展示のため、「自由に流動する」空間を作ったのです。
また、暗い展示ボックスは天井の隙間から光が降り注ぐようにすることで、光と闇が織り成す空間を演出しています。
そして、地下1階から見られる地上1階の突き出ているバルコニー空間、二つの階の間に作られた中問層の空間はビデオ上映とメディア展示に使われます。
このように、光と空間を適切に調節し、展示企画の意図に沿い柔軟な空間演出することができるミュージアム2は、観覧客に新しい展示空間を体験させるでしょう。

ジャン・ヌーヴェル

Jean Nouvel

イメージ建築で未来的な詩を詠む芸術家、ジャン・ヌーヴェル

ジャン・ヌーヴェルイメージ

"木の枝や根のように様々な空間の話を聞いてみてください。"

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フランス出身の建築家、ジャン・ヌーヴェルは建築係だけでなく、文化芸術全般にわたって国際的にその名の知れた人です。1945年生まれで、パリ国立高等芸術学校であるエコール・デ・ボザールを一等で入学するほど、早くからその天才性はあらわれました。

"木の枝や根のように様々な空間の話を聞いてみてください。"

"ジャン・ヌーヴェルは、1976年、フランスの建築運動「Mars 1976」を主導、1980年にはパリの建築ビエンナーレで芸術部分の企画を担当するなど、幅広い活動を広げています。1983年、芸術家と文学家に与えられるナイト爵位を受けたこともあります。
1987年に竣工されたパリのアラブ文化院は、アラブとヨーロッパ文化の関係、伝統と現代の衝突を蓄積して表現し、絶賛を受けた彼の代表作です。その他、パリのカルティエ財団、リヨンのオペラハウス、最近竣工されたプラハのアンデルビルなどを数えることができるし、ガウディのサグラダファミリアとともにバルセロナの新しいランドマークになるアグバ・タワーが竣工を待っています。

ジャン・ヌーヴェルは多くの作品を通して現代的で、未来指向的な都市的感性を表現してきました。ガラス、鉄など冷たい材料を好んで使い、鋭くて粹な印象を持つジャン・ヌーヴェルの建築は一つの巨大な芸術品だとたとえられます。建築を詩的次元にまで昇華させなければならないと主張するジャン・ヌーヴェルは、芸術家のように直観的なインスピレーションで設計に取り組みます。最先端のテクノロジーと現代芸術の美的感覚が交差する接点の上で発揮されてきた彼の建築は急進的で挑戦的です。

ジャン・ヌーヴェルがどうして建築を直観でデザインし、彼の建築がどうして詩的な印象に満ちているかは次のような言葉で確認することができます。

“いいことにも建築には正解というたった一つの答えがないです。無数にある答えと数えきれない興奮という答えがあるだけです。実現できる答えができるだけでも十分です。しかし、このような答えは意外にも単純すぎるか、明白でありますが、逆に解読できないものだったりします。”

建築家のインタビュー

建築家のインタビュー

ジャン・ヌーヴェル Jean Nouvelle

ボックス形の幾何学的な固定スペースは複合的で、異なる方向を向いています。
建物の内部は展示作品の性質ことに壁を活用して、空間の概念を完全に変えることもできます。

リウムプロジェクトを引き受けた時の感想はどうでしたか。そして、プロジェクトの主なコンセプトは何ですか。

ずいぶん前にこのプロジェクトに取り掛かったんですが、当時、敷地には他の建物がありました。初めに私の関心事は地形との関係を念頭に置きながら建物を空間が持つ屈曲の中、その一部に建てるということでした。

白紙状態の空間ではなく、都市の中で長年の年月を経た屈曲ですね。それがプロジェクトが具体化されるにつれて、建物が空間の中に含まれるようにするために、土からそびえるようにする必要があると考えました。美術館に訪れた人々は土の中から建物が飛び出たような感じを受けると思います。木々も建物の入口に植えないで、10~15m程度低い所に植えます。水平と屈曲の対比を見せてくれる建築だと言えます。そして、屈曲した地形に似た様々なボリュームを見せてくれるはずです。ちょっと恣意的に見えるかもしれませんが、その差と方向によって様々な可能性を持つ内部空間が生まれるはずです。

腐食したステンレススチールという独特の材料を使ったんですが、どのような意図からその材料を選んだんですか。

ミュージアム2は鉄とガラスでできた建物です。

ここに使われた鉄は非常に曖昧な性格を持っています。よく見られる酸化性金属ではないんです。もうさびた金属でもなく、腐食が進んでいる金属でもない。つやが出る濃い灰色の石のようにも見えたりします。光を受けながらも同時に暗い光を帯びています。様々な特質を一度に見せてくれる素材、存在しながらも同時に不在しているかのような素材です。さびた金属を好んで使うことはないです。岩や地形の感じがよく表現できる素材を求めたんです。もう一つ重要なことは、このボリューム感が与えてくれる金属固有の重さです。この展示ボックスの間にはガラスがあります。ガラスが暗示する不在感は金属箱の重さと強い対比を成します。金属箱の角ばった形はガラスによって柔らかくなります。機械的な感じがしないようにしたのです。私に建築は、存在感と不在感の間に成り立つ対話だと言えます。

屋外にある灰色の展示ボックスが美しくて印象的です。このような独創的構想はどうやってできましたか。 また、このデザインと美術館の展示品の間にはどのような関係がありますか。

展示ボックスはとても抽象的な形をしているうえ、お互いに違う方向を向けていて非常に表現的だと思います。

私が追求したのはこの箱がある内容を象徴するようにすることでした。美術館内部の様々な展示空間などがその内容を具現します。
これは建物の固定された部分に当たります。ところが、建物の内に入っていくと、この幾何学的な形の固定された部分に動的な要素が付け加えられます。展示物の性格に沿い壁や臨時の施設を活用して内部空間の概念を完全に変えることができます。美術館を様々な姿に変えることができます。箱のいくつを閉鎖することで展示場の一つを暗くすることもできます。興味深いのは光の対照効果です。暗い箱の中に置かれた作品の上に隙間から光が降り注ぐと、陰影の織り成す空間が作られます。光と闇が共存するようになります。私は光の透過を適切に利用した空間が好きです。これは美術館の一般的な性向とは距離があります。普通、美術館では光を遮ろうとしますから。しかし、古代の建築からもわかるように自然光と影の間に対比を置こうと思いました。もちろん、人工照明とバーチカルで二つの空間を相殺することもできますが。

地を掘りながら掘られた空間をそのままにしておきたいと話したそうなんですが、どのような意図からですか。

建物がまるで地中から飛び出た岩のように、いつもその場にあるような感じを与えようと思いました。

美術館を訪れた観覧客は大きな堀穴に出会います。一度、中をのぞきみるでしょう。地中に向かっている堀穴を。単純に地上に建てられた建物とは確実に違います。根が感じられるから。このような地形の屈曲の利用が私の関心事です。建物の半分は地上にあって、半分は地中に埋まったような、対照的な印象を受けますから。しかし、この二つの部分は一つのスケールを構成します。建物が地中を貫通するような感じがまさにこの建物を独特にさせる点ですね。

美術館の三つの建物が全部、大建築家によって建てられ、互いに非常に異なる性格を持っていますが これらの間にはどのような関係があると思いますか。

一つの共通した話を持っていると思います。建物の関係を把握するときは、この話を理解しなければなりません。

美術館固有の物語、所蔵作品の物語でありながら、結局、コレクションとしての建築物の物語でもあります。このような題についてそれぞれの建築家が異なる建物を念頭に置いてそれなりの方法を模索したんです。私の場合、建物が最大限深く根を下ろすように焦点を当てました。マリオ・ボッタさんはボリュームを重視したし、レム・コールハースさんは隠された部分を表に出す足場の役割を担っていて、立派な相互補完関係を成しています。もちろん、建築様式はお互いにとても違います。しかし、周辺の風景や建物の間の空間がそれを繋ぐ橋になると思います。

リウムの未来について、特に、望むことはありますか。

もちろん、作品の一部は常設展示されると思いますが、私はこの美術館自体を一種の企画展示館だと思いながら構想しました。

私が追求したのは、伝統的な意味の柔軟性とは一味違う、新しい意味の柔軟性です。様々な芸術作品を対象にする美術館は単純に分類して展示するだけのことを越えた空間ではなければなりません。 作品を収集しておく空間ではなく、作品との関係を形成する空間、同時代の芸術に用いられる様々な表現方式と媒体を受け入れることができる空間を作ろうとしました。美術館の建築は私には一つの冒険です。私は固有性を重視し、今回の作品でもやはり世界で唯一の建築物を作ろうとしたんです。私が願ったのはとても独特な建築物、似たものがない新しい姿の美術館、存在しない有形の建物を作ろうとしたんです。ここで観覧客は美術館の空間を実際より大きく感じるでしょう。単純な四角の空間ではなく、複雑な迷路のように終りがない空間ですね。サムスン美術館、リウムに望むのは、キュレーターが空間に制約を受けず、様々な展示を自由に試みることです。それが柔軟性であり、多機能性ですから。